目を突き破って出てきたもの 投稿日: 2021年11月28日2021年12月3日 投稿者: kishiro.poem 目を突き破って出てきたもの 紀城 有希 見ていたと思っていた 見ているつもりでいた その表面の乾いた皮 うすっぺらなパリパリの紙のような それを 本当のすべてだと思っていた 私の同じ乾いた目も 見方によっては柔らかく潤んで 立体感を醸し出していた 見方によっては 何もかもが 潤って 生々しく 生きている 私の目の中の良心のような鬼が、 長い年月で魂のしずくがつくった鍾乳洞の石灰の柱のような塊が、 表からは巧妙な生物(せいぶつ)だが 裏からは無意味な薄い一枚の皮を 突き刺して 破り 外へ出る