昼の怪物 夜の怪物
紀城 有希
昼という怪物の腹の中で
日常の谷に埋もれ
日々の餌を食みながら
とらわれる
明るく広がる映像
すぐそこに
白んだ膜の向こうに
透けて見える外の世界
眩しすぎて見えないこの世界
えたいの知れない闇をもって
最初からずっとそこにいる
外のようで
内のようで
外も内もなく
すべてに染みて
区切りも終わりも見えない
すべてを飲み込んでいるくせに
何もない
すべてをもって
光さえも吸い込んで
だから
そこにあるのに気付けない