土の袋
紀城 有希
コンテナ列車と倉庫の間の青い空の下で
袋に詰められた
私たちの土を
青年の足が蹴る
1つ2つと
積み重ねられはじめた袋を
列車で別の遠い国へ運ばれるか
その前に
袋の下にある地層のずれが揺れ崩れて
袋ごと地中に吸い込まれるか
そのどちらかを待っていた土の袋を
青年の足は蹴り
破れたビニール袋から
土がこぼれ出る
まだ カビの生える前の
健康な土が飛び散り
ごく当然のように
線路わきの
まだそれほど踏み固められてない大地に
降り落ちる
長い年月におよぶ
先祖たちの骨ででき
私たちを生み出した土が
ぱらぱらと
この汗と油で多少汚れた狭い場所に
重なり落ちて
息をつく
僕の好きな詩。