20230909
この世界のどこに
私の傷つかない
その人物の不在を伝えない
場所があるのだろう
どこもここも
すべてがそれを伝えて
息のつける場所なんかない
そして私の心は何も語らなくなった
何も感じない
何とも関わらない
私自身がすべての場所で不在でいることだけが
私の心に残された選択なのだ
それでも生きていれば感覚は何かしら残っているから
私の心は それが目覚めればすぐに消し去ることに神経を注ぐ
まるで外敵が体に侵入した時の免疫細胞のように
私の最も優秀な能力である感性と記憶は
今は外敵に等しい
原始的な感覚だけが 私に日々を送らせている
獲物をとる 食べる 寝る それだけ
ただ 食べて 時間に遅れないように仕事に行って
食べて そのまま寝て
家中の電気がついたまま次の朝がきてしまい
また遅れないように仕事に行く
風呂に入って 寝室で寝る日は何日あるのだろう
寝室に入りたくないのかもしれない
体を洗うと少しは気持ちが軽くなるのに
食べてすぐ 歯も磨かないまま そのままソファで寝てしまう
無理に体を動かして日常の最低限のことをする
本当は何一つしたくない
お腹が空くから食べてすぐ寝る
この繰り返しでいい
寝たら この意識が一時的にでも遮断されるから
そこにいたい
起きていたくないんだ
本当は食べたくもないのかもしれない
食べなくてもいいけれど
形式的にそれをスケジュールに入れている
そして 私の中の まだ私を生かそうとしているものたちが
私のご機嫌をとって
これならどう 食べたら きっと美味しいよ
と言ってくる
そしてうなづいたものだけが摂取されるから
摂取するものが美味しいものでないと 精神の維持ができない
そのくせ 食べている間も感覚は消そうとする
ほんのわずかな時間もここにいなくてすむように
映像などの遠い別の世界へ意識を飛ばして
食べているその場所へすら帰ってこようとはしないのだ
最近ふと思う
その人物は最初からいなかったのではないだろうかと