どこにもいない私

 

 どこにもいない私

                            紀城 有希

小さな自分の粒でもいいから

見つけたいと思っても

どこにもないことがある

 

誰の目にも

溢れているはずで

隠しようのない塊や存在が

自己主張をしているのに

 

目を閉じても

目を開けても

見つけられない

 

存在するには当面困らない

むしろ穏やかな気さえする

 

そのままここにいるには苦労も多い

疲れて消えた別の宇宙から

 

私をまだ生かすために

戻るのを

 

ぬくもりの残った仮の宿に待つ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください