のどかな休日に

 

 のどかな休日に

                            紀城 有希

 

穏やかに晴れたのどかな田園を

ほとんど客を乗せていない一台のバスが走る

車内では、2人のやんちゃな兄弟が

動き回ってはしゃぐものだから

華奢な母親が、椅子から立ち上がって細い手を伸べ

「危ないでしょう」と優しく諌めている

けれど、動く子供を追って、そのきれいな長い髪が振り向いた顔は

目も、子供たちに開いた口も、ただ真っ黒い穴で

闇の宇宙が広がっていた

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